「炎の蜃気楼」非公式個人ブログです 管理人の主観にあふれた女性向け小説です

八咫烏 ~yatagarasu~



たかにゃんはペット、8

休むっていうコメントに拍手いただいたら、がんばれって言って貰ったような気がして・・・なんか書けた!
ありがとうございます!



たかにゃんはペット、8


「オレの見込み違いだったようだ」
「蹴り倒しますか?私を」
「ああ、そうするか」
高耶さんは、俺を睨んでいる。
「オレは、やっと、やっと・・・」
それだけ言うと、自分の荷物を持った。小さなデイパック一つ。それが彼のすべて。
「どこへ行くんです?あの千秋のところ?それとも、上杉のお義父さんのところですか?」
確信はなかったのに、俺はつい口にした。
「・・・知っていたのか?」
「・・・千秋から名刺を貰ったので」
「そうか」
「有名な話ですよ。表立ってはいませんが、知る人は知っていますよ」
上杉氏は、同性愛者だ。
「なんのことだ?」
「あなたは、上杉さんの養子ではなく、愛人なんではないのですか?」
「てめぇ・・・」
高耶さんは、目を赤くして、俺を睨んだ。あたりまえだ。これが事実でないなら、いや、事実であったとしても、名誉毀損で訴えられても、文句は言えない。
高耶さんは、乱暴に持っていた荷物を放ると、つかつかと俺の前に来て、俺の襟首をつかんだ。
「世の中には、言って良いことと、悪いことがある。」
「本当のことでも?」
「違う!確かに、義父はその趣味がある。でも、オレは・・・」
「まだ、手を出されていない?」
「あたりまえだ!」
彼の手が震えている。怒りか。本当のことがわかったからか。
「でも、なぜ逃げて来たんです?」
「そんなの、決まっている」
彼の目尻には、涙が浮かんでいる。
「誰が、好き好んで身体を差し出すか。いくら借金のカタに売られたとはいえ、おいそれと、そんなの簡単なもんじゃねぇだろう?」
「借金?」
「ああ、オレは、もともと、実の親に売られたんだ」
突然、高耶さんは、宙を仰いで、アッハハと笑い出した。一つも可笑しくはない。哀しみを笑い飛ばさなければ生きてこれなかったことを、その笑いに込めているようだ。それが証拠に彼の眦から涙が流れている。ハハハとひとしきり大きな声で笑ったが、しまいにはハハッ、ハッと声が震えた。
「上杉さんは、あなたを買ったのですか?」
「正確には、別な人間が買ったのを、買い取ったんだ。まるで、犬猫みたいだろ?」
「そんな・・・人身売買なんてありえない」
「ありえない?ありえないよなあ。普通。表立っては、養子縁組みだから」
俺は絶句した。衝撃が強すぎて、言葉が出ない。

「実の親は、初め、オレを借金のカタに養子にしたいと申し出た人が、そういう趣味の人だと知っていて売ったんだ。いくらかだったかなんか、子どもだったから知らねぇよ。でも、だんだん、そいつがそういう目で見るようになって、買った相手は、時を待っていたみたいだ。ある日、急に寝室に呼ばれ・・・だから、抵抗して、暴れまくった。相手は怪我したよ。でも、警察沙汰にもできなかったから、そんなオレを持て余したんだろ?そういう店に売ろうとしたところを、それを拾ってくれたのが、上杉の義父だった」
「高耶さん!」
「そんなオレを、義父は、本当に可愛がってくれて、後継者にすると言ってくれたんだ。だから、ちゃんとした教育を受けさせてくれて、大学まで入れてくれたんだ。」
だから、乱暴な口の割には、教養が身についていたのか・・・この人を見れば、上杉氏の話は、本当らしい。
「それなのに、そんな話が具体化してきたら、他の親戚が他の人間を跡継ぎに推してきて、オレのことは、追い出すか、そっちの相手にすればいいと言って来たんだ。だから、逃げて来た。そんなの、義父も望んでいない」
「では、追っ手は・・・」
「あれは、オレを追い出すか、愛人にさせれば良いと言っていた親戚だ。」
「だったら、ちゃんと上杉さんと話し合って・・・」
「・・・義父は、今、日本にいない」
「えっ?」
「海外だ。支店の開設と工場を建てている。当分戻らない」
「だったら、後継者の話は、まだ進まないのでは?」
「逆だ。親戚連中は、今のうちにオレを追い出すか、他に売り飛ばす気でいる」
「そんな!」
「元々、売られた人間だ。本当の親にさえ借金のカタに実の息子なのに、売られたようなオレだ。オレには、そういう道しかないんだろう」
「そんなこと・・・今の、日本で・・・」
そんなこと、白日の元にさらされることはなく、水面下で行われているだけなのか・・・
「ああ、これが現実だ」
「やっぱり、上杉さんに話さなければ、たとえ海外だろうと、どこにいようと・・・」
「義父は、今大切な時なんだ。恋人のため、海外支店を成功させたいんだ。」
「恋人、恋人がいるんですか?」
「ああ、あまり知られていないけど、だから恋人の地元で会社を興し、ゆくゆくはそっちで生活したいらしい。で、日本のことは、オレに任せたいと言っていたんだ。そんな大事な時に・・・」
「こっちだって、大事なはずです。後継者がこんな目に合っているんですよ。万が一、その親戚に捕まったら、後継者が客を取らせれることになんて!」
俺は、怒りで頭に血がのぼっている。
「直江・・・」
高耶さんが、俺の肩に手を置いた。
「今、上杉で、オレの味方は千秋だけなんだ。千秋は、義父の先代からの腹心の部下の息子だ。義父も信頼している。オレが上杉に行った時から、オレの遊び相手っていうか、兄や扱いだった。」
「それで、あんなに仲が良いのですか?」
「ああ、唯一、上杉で心許せる人間だ」
「高耶さん」
「上杉でも、ずっと安心できる場所はなかったから。」
ここ以外はな・・・
かすかな声だった。
そんな彼を、俺は、俺は、追い出してしまうところだった。
つまらない嫉妬で・・・
さっきのもやもやは、千秋に対する嫉妬だ。
そうだ、あの感情は嫉妬なのだ。
「高耶さん、すみませんでした。どこにも行かないで、どこにも行かないでください・・・ここに、いて・・・」
あまりにも過酷な運命の彼が、頼りなく震えている彼が、切なかった。
俺は、そっと彼を抱きしめた。



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ダメだ〜頭、真っ白・・・
今日は、お休みしますm(_ _)m
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たかにゃんはペット、7



たかにゃんはペット、7

「ただいま・・・」
玄関に電気が点いていた。
1人で住んでいた時にはなかった、人の気配と言うものがある。自分のものでない匂いとか、空気の流れとか重さとか、意識しているから、感じるだけなのかもしれないが、玄関のドアを開けると、一人じゃないんだと思う。
おかえりと声がした。
その後から、ハハハと笑う声。これは高耶さんのものではない。誰か来ているようだ。玄関には、彼のスニーカー以外に、俺のものでない、今流行りの靴がある。
リビングに行くと、テーブルには、ビールの缶が何本か転がっている。高耶さんはお茶を飲んでいる。
「お邪魔してます」
と、立ち上がった人を見て、俺は少なからず驚いた。
内緒にしてくれと高耶さんに言っていた、あの男上杉の社長秘書と名乗った男がいたのだ。
「千秋さん、でしたね?」
「はい、留守中にお邪魔してすみません」
礼儀正しく挨拶をする。すみませんと言いながら、彼の眼鏡の奥は、少しもすまなそうではない。
「見つかっちまったんだ」
「高耶さん・・・」
「でも、ほら、千秋はオレの味方だから。なっ」
「勝手に味方にすんなよ。俺様は、おかげで大変なんだぞ」
「悪りぃ、悪りぃ」
高耶さんも、少しも悪そうに思っているようには見えない。2人で顔を見合わせて笑った。
そんな高耶さんの様子に気を許したのか、千秋はよそ行きの態度はやめたようだ。急に馴れ馴れしい。
「しかし、ダンナよ、あん時何にも知らねえふりしちゃって、ひでぇな」
「ダンナ?俺のことか?」
「そうそう、うちのにゃんこの飼い主さまだからよ」
「千秋!」
「まぁいいから、大将。ここは黙ってろ」
2人は、視線で会話しているような目配せをすると、うなづいた。
俺は、カヤの外にされたことで、少し気に入らない。
「そこで、折り入って頼みがある。」
千秋は、俺の方をまっすぐに見た。
「ダンナ、しばらく、こいつを預かっておいてくれないか?」
殊勝に頭を下げた。
「千秋!」
高耶さんが、千秋が何か言おうとしたのを止めようとした。
「大将、今はこれが一番いいって」
「だけど、相手の迷惑ってものを考えろよ」
初めて会ったその時、置いてくれと、最初に言ったのは高耶さんだ。
「別に、私は構いませんよ」
「よっしゃ、助かったな、大将!」
「千秋!・・・それより直江、本当にいいのか?」
「乗りかかった船と言いますからね。ええ、構いません」
「これで、しばらくほとぼりが冷めれば、あのおっさんも考え変えるよ。なぁ大将!」
千秋は、明るく高耶さんに声をかけた。高耶さんは、不安そうな眼で千秋を見た後、俺を見た。
「・・・だと、いいんだけど・・・」
事情はよくわからなかったが、なんとも高耶さんの歯切れが悪い。
「まぁ、大将、他の奴らに見つからないように気をつけるんだな。」
さてと、と言うと千秋は腰を上げた。
「帰るのか?」
「ああ、長居は禁物だから」
千秋は釘を刺すように、高耶さんのほうを見た。
「特に、学校の行き帰りが一番危ねぇからな」
「わかってるって」
「じゃ、ダンナ、よろしくお願いします」
「うむっ」
俺は、よくわからないがとにかく返事をした。何か大変なことに、巻き込まれたのかもしれない。そんな気がした。

千秋がいなくなった部屋は、急に静かになった。
「着替えてきます」
「直江、聞かないのか?」
事情を聞かないのかと、高耶さんは言いたいのだろう。
「何か事情があるのはわかります。言いたくないことは、言わなくていいです。言わなければならなくなった時、言ってください」
俺はそう言って、寝室に着替えに行った。
高耶さんが、俺の後ろ姿を見ていたのはわかっていた。でも、俺は振り向かなかった。言った言葉は、嘘でも強がりでもない。俺は本心でそう思っている。
高耶さんが、言いたくなれば言わなくていい。

「悪りぃな、千秋に捕まって、大したもん作れなかった」
それでも、テーブルには、簡単な即席漬けと、焼き魚と、煮込みうどんが並んでいる。
「いいえ、十分です」
「あいつさぁ、校門で待ちかまえていやがんの」
「大学のですか?」
「まぁ、居場所は逃げ回っても、大学はバレているから」
「そうですね」
「しゃねぇから、スーパーに連れて行って買い物させたぜ」
「あの千秋という男と、スーパーへ行ったんですか?千秋とスーパーは似合いませんね」
ぶっと、高耶さんは吹き出すと、
「おまえのほうが、百倍似合あわねぇよ」
「そうですか?なんなら、今度一緒に行きましょう」
「やめとく、みんなにジロジロ見られるのがオチだ。」
「どうしてですか?」
「ほら、なんかおまえみたい男と、オレみたい男だと、吊りあわねぇだろ?」
「つりあわない?何がですか?」
千秋が良くて、俺はダメなのか・・・
その高耶さんの言葉は、まるで俺を否定しているような気がしたのだ。
「変な目で見られる」
「千秋という男ならいいんですか?」
「あいつなら、ダチっぽいから」
確かに、俺と高耶さんでは、年も離れているし、タイプも違う。兄弟にも、友だちにも中途半端な感じだ。

俺は帰ってきた時から、胸の中でモヤモヤしていたものが、怒りだと気付いた。
「どうせ、私など、あなたが利用できるだけの人間ですから。千秋のように、あなたのための人間ではありませんよ」
食べていた箸を、バタンと置いた。
我ながら大人気ない。
「直江!」
「いいですよ、どうせ・・・」
「どうせ?どうせなんだよ」
「どうせ、私はあなたとは関係のない人間だってことですよ!」
俺は、何を口走っているのだ。
「直江!何言ってる」
高耶さんも立ち上がった。
「オレがいつ、おまえを利用しようとしていた?言ってみろ」
「ええ、ここにいれば、あなたはそれでいいんでしょ?匿ってあげればいいんでしょ?その上杉という組織か、人かわかりませんけど。せいぜい私を利用してくださいよ」
「おまえ、そんなふうに思っていたのか?オレをそんな目で見ていたのか?」
「違います。そんな目で見ていたのはあなたのほうだ」
「おまえは、そんなふうに思っていたのか・・・オレは、オレは、やっとくつろげる場所と、安心できる相手を見つけたと思ったのに・・・」
「安心できる?」
「ああ、ここに来て何日でもないけど、おまえは、信頼できるし、安心できる・・・そう思ったんだ!」
高耶さんは、怒りからなのか、顔を赤くしてそう怒鳴った。



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たかにゃんはペット、6



たかにゃんはペット、6

片付けを済ませた彼に、先に風呂に入ってもらった。俺はまだ仕事が残っていたのだ。早く帰宅した分、家に持ち帰ったのだ。
彼に先に休んでくださいと言ったら、彼は、何も聞かず、迷いもせず、わかったと言っただけで、俺の寝室に入って行った。
その姿を見て、俺は気付いた。そうだった。
ベッドに運んでいた時、すでに彼は寝ていた。彼が起きた時には、俺はもう出勤した後だった。
彼は、夕べ俺と寝ていたことを知らない・・・
俺は、残っていた仕事を済ませ、風呂から出たのはいいけれど、困った。
どうしようか迷って、リビングをウロウロしていた。ブルータスよろしく、同じベッドに行くべきか、ソファで寝るべきか・・・どちらにしても、ソファーで寝るなら寝室に行って、毛布を取りに行かなければならない。
俺は意を決して、寝室に入って行った。
毛布を取りに・・・
よく知らない者同士、同じベッドで眠るのは、さすがに彼に非常識ではないかと、思われるのではないか。

「仕事終わったのか?」
足音を忍ばせて、寝室に入る。
寺の生まれのせいか、足音を立てず歩くのは得意だ。気配を消すのも長けていると思う。しかし、ドアノブがカチャと鳴った。本当に幽かな音だ。薄暗い部屋の奥から、寝ていたと思った彼から声をかけられた。
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「ううん、大丈夫。早く寝よ」
彼の声は、少し寝ぼけている。
「はい」
俺は、寝室のクローゼットから毛布を出そうとした。
「早く・・・」
ベッドのフットランプが、ほのかに光る。上掛けをめくった彼の姿が浮かび上がった。
「高耶、さん?」
「高耶さん?」
彼は、くすくすと笑った。
「私、何か、変なこと、言いましたか?」
「高耶さんだって。くすぐってぇ」
「おかしいですか?」
「そんな呼び方・・・オレ、似合わなくねぇ?」
「別に・・・」
「それより、早く入れよ。冷えちまう」
「高耶さん」
俺は、クローゼットの扉に手をかけたまま、呆然と立ち竦んだ。
「直江、早く。何回言わせる」
彼の声は、有無を言わせぬ強さがあった。俺は、ゆっくり身体の向きを変え、ベッドの方に歩み寄った。
黙って、彼の眼を見た。
彼も、俺から眼を離さない。
「風邪引くぜ」
彼の横に身を横たえる。
ふっと、彼が息をはいた。すると、彼は俺の胸の中にするりと入り込んだ。
実家の猫がよくやる。いつの間にか住みついたトラ猫だ。冬の寒い日、家族みんなにうるさがられ、入るところがないと、最後に俺の布団に入ってくるのだ。そして、やっと見つけたぞという"ミャー"というひと声あげて、俺の布団で丸まるのだ。
デジャブのように、俺は彼のその様子が、実家の猫と重なった。猫を抱き込んだように、思わず、彼を抱きしめた。
実家の猫に、そうしていたように・・・
「冷てぇぞ」
「すみません」
俺は慌てて身を離そうとした。すると彼はもっと、俺の方にぐりぐりと身体を寄せた。
「動くな。じっとしていた方が早く温まる」
「・・・はい」
俺は、心臓の鼓動が早くなる。
普段、ほとんどのことに動揺することはない。冷静沈着といえば聞こえがいいが、興味がないからだ。何事も他人事だ。何を見ても、何を聴いても、何をされても、思い入れもないから、期待することもなければ、失望もしない。だから、俺には、トキメキとか、動揺とかは無縁なのだ。
その俺が、まさか、彼から同じベッドに入れと言われるなんて思わなかった。まして、彼から抱きついてくるとは思わなかった。そんな予想外の彼の言動に、動揺しないわけがない。
男同士だ。よく知りもしない2人だ。
気持ち悪いとか、変だとか、彼は抵抗はないのか・・・
俺も・・・
その俺は、心臓の音を気にしている。彼に聞こえてしまいそうで・・・いや、確実に聞こえているはずだ。

「なんだよ。何、ドキドキ、焦っているんだよ」
「焦ってなんかいませんよ。」
俺の心臓の音が聞こえているのだろう。
「はぁ?じゃあ、おまえ、不整脈か?」
彼がからかってくる。
「不整脈・・・ははは」
そんな発想の彼が、かわいいと感じた。
「なおえ・・・猫を抱いて寝ているみたいだろ?」
ニヤリと笑った、彼の気配がわかる。
俺の考えていたことを、見透かしたようなことを言う。
「ええ、実家の猫を思い出していました」
「こうやって、おまえ、猫と寝ていたのか?」
「ええ、たまに、家族の誰も猫を布団に入れてやらないと、最後に私のところへ来ました」
「おまえは、最後の砦だったんだ。」
「そうかもしれません」
「じゃ、オレもその猫とおんなじだ。そうしよっと」
おまえの腕の中は、気持ちいいぞ・・・
ウニャウニャと、彼が俺の胸の中で言った。はっきり聞こえたわけではないが、俺には、そう聞こえた。
「明日は、オレ学校・・・」
そう言ったとたん、スヤスヤと寝息をたてている。
そうか、まだ学生なのか。
大人になりきれていない彼のしなやかな肉体は、俺の腕の中、ちょうどよく収まっていた。
最後の砦・・・深い意味などないのだろうか。
彼の本心が、よくわからない。

他人と朝を迎えるのは、これで2日目だ。
俺は、それが嫌ではない自分に戸惑っている。むしろ、喜んでいる自分を認めざるえない。なんの戸惑いも抵抗もない。
こんな短時間で、彼の存在は、俺の中にしっかり根付いていた。



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たかにゃんはペット、5



たかにゃんはペット、5

「専務、橘専務、その書類どこか間違ってましたか?それとも、具合いでも悪いんですか?なんだか、朝から変ですよ」
主任の太田が、心配そうな顔で覗き込んでいた。俺は、書類のチェックをしていたのだ。その手が止まっていた。
「あっ、何でもない。ちょっと気になることがあって・・・」
「確かにその物件、手強いですよね。そこの地主、大型マンションに興味持っちゃってましたから・・・」
「いや、この件ではない。実は、夕べ、猫を拾って・・・」
「えっ、専務が猫を!」
主任の声は思いの外大きくて、フロアに響き渡った。
「専務が、猫を・・・」
あちこちで囁く声がしている。隣同士顔なんか見合わせて・・・そんなに、俺と動物って接点がないか。
太田は、腰を屈める小声で聞いてきた。
「専務、それ、ホントの猫ですよね?口紅を付けた猫じゃないですよね?」
ニヤリと笑った。
「違う!猫だ。」
俺はムッとして答えた。こんなにムキになるなんて、会社では初めてかもしれない。ホントの猫ではないというところが、見透かされたような気がした。
「へぇ、どんな猫ですか?子猫?」
太田は、食い下がる。仕事もこのくらい食い下がれと言いたい。
「子猫ではないが、成猫とまではいなかい。若い猫だ」
「部屋に置いて来たんですか?心配ですよね」
「もう、どこかへ行ってしまったかもしれない」
「猫は気まぐれですものね。どんな猫だったんですか?」
「どんな猫って言われても・・・」
「三毛猫とか、トラ猫とか?」
「いや、黒い猫」
虎のような眼をしていたけど・・・髪は瞳と同じ、漆黒だった。その髪の艶やかさや、柔らかい触りこごちは、黒猫そのものだ。
「黒猫のウィズみたいな?」
「そんなの知らん」
「ゲームですよ!」
「私が、ゲームなんかするわけないだろう」
この話はお終いだと、俺は太田に書類を渡した。

なんで、こんなにムキになる?
さっきも社長秘書という千秋という男に、彼のことを訊かれ、知らないと答えた。それは、泊めたと言ったら面倒だと思っただけだ。断じて庇った訳ではない。本当は、なんとなく言い出せなかった。俺は、その名刺を取り出してもう一度眺めた。
彼は、上杉とどんな関係があるのだろう。俺は、上杉コーポレーションを調べてみた。

上杉コーポレーションとは、ワンマン社長の一声で会社が動く。しかし、業績はいい。社員は地元から連れて付いてきた者ばかりだ。
社長のプロフィールを見る。社長の上杉は、未婚だ。でも、息子が一人いる。養子のようだ。養子とは名ばかりで、噂では、社長は、そっちの趣味があるとも聴いている。
もしかして・・・
俺は、あられもない妄想を描いて、打ち消すために首を振った。
まさか彼が・・・

それより、彼はもう出て行っただろうか。行くところがないとは言ったが、本当はどうなんだろう。
その日、俺は気もそぞろで、定時に上がることにした。接待が入る以外、定時に帰るなんて、ほとんどないので、すっかり、他の社員は俺が具合いが悪いと信じ込んだ。
「専務、猫用のエサは、年齢によっても、大きさによっても違いますから、買うとき気をつけてください」
太田が、訳知り顔で俺を見送る。
そうかエサか・・・
彼は、今朝も、昼も食べてなかったら、また腹減ったと、騒いでいるのだろうか。
俺は、柄にもなく、近くのデパートによると、パンや惣菜など買い込んだ。

鍵は閉まっている。
ドアを開ける。
いないのか・・・
「ただいま」
ただいまか、この部屋で言ったのは初めてだ。そう思うと俺はくすりと笑った。
リビングへ行く。
電気が点いていた。
いい匂いがする。
「おっ、おかえり!」
「まだ、いたんですか!」
「言っただろう?行くとこないんだって。それよりメシできたから、着替えて来いよ」
「あっ、ええ、ありがとうございます」
「悪いけどこの辺のもの、テキトーに使わせてもらったぞ」
キッチンから、彼が大きな声で言った。
「別にかまいませんよ。どうぞお使いください」
俺も、寝室から大きな声で応えた。

「いつもより、早く帰ってきたのか?」
「ええ、今日は珍しく定時に帰りました」
「もしかして、オレのこと心配したんだろ?」
テーブルに着くと、呑むかと、ビールまで用意されていた。お中元でもらったビールの箱が開けてある。
「これ、お中元のビールです」
「まぁ、いいんじゃねぇ?消費期限内だったから。おまえって家では飲まないの?」
「そうですね。夏の暑い時に、風呂上がりに飲むくらいですかね」
「ふぅーん。強そうだけど」
「まぁ、仕事では呑んでも酔いませんね。酔えませんの間違いか・・・」
「接待か・・・大変だな」
そう話しながら。彼はご飯をよそったり、味噌汁を並べたり甲斐甲斐しい。
「これ、買い物してきたんですか?」
「ああ、あるものは使わせてもらったけど、ほとんど生鮮食料なんて、なんもないんだもん」
「すみません・・・お代は、お支払いしますから」
「別にいいよ。これくらい。宿代だ」
彼の作った、味噌汁や、スズキのソテーや、マシュマロポテト、小松菜の炒め煮など、結構な品数が並んだ。レパートリーも結構あるようだ。
向かい合って座ると食べ始める。彼は、両手を合わせていただきますと言った。
どれも旨い。
「おいしいです。」
そう言うも、少し赤くなった。
「よかった。安心した」
「でも、あんまり外へ出ない方がいいかもしれませんよ」
俺がそう言うと、彼は俺をじっと見た。
「何か、あったか?」
俺は、朝もらった名刺を取り出した。
「千秋か・・・」
「知っている人ですか?」
「オレのこと、しゃべった?」
彼は、鋭い眼でオレを見た。俺は小さく首を振る。
「サンキューな」
「あなたのことか、わかりませんでしたから」
写真を見たことは言わないでおこう。
「そうか・・・でも、千秋はどっちかというと、オレの味方だから。でも、できればオレのこと、言わないでほしい」
「ワケありなんですね。わかりました」
「オレ、仰木、仰木高耶って言うんだ」
初めて彼が名乗った。そして、俺の顔をじっと見つめていた。
「おまえは、橘さんだろ?」
「私の名前はご存知でしたか?」
「表札や、リビングの上のDM出しっ放しだったから」
彼は、俺が会社に行っている間に、洗濯やら、掃除をやってくれたようだ。
「きれいにしていただいてありがとうございます」
「勝手にやったことだから。それより、勝手にやってごめん」
「いえ、助かります。ご飯もおいしいですし」
「なぁ、オレ拾い得だろ?」
彼は、そう言うとニヤリと笑った。
「私、直江という名前も持っているんです」
「はぁ?」
「直江は、養子先の名前なんです。私は、4人兄弟の末っ子なので、将来は、母の実家の名前を継ぐことになっていますので、」
・・・上杉の養子。
カマをかける意味もあった。俺は、そんな話を振ってみた。
「ふぅーん。おまえって直江とも言うんだ。じゃあ、直江って呼ぼうかな?」
「ええ、いいですよ。私も仰木さんと呼びますから」
「高耶でいいよ」
彼は、そっとうつむいてそう言った。







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たかにゃんはペット、4

すみません、遅くなりました。



たかにゃんはペット、4

ソファで寝かせるのもなんだと、自分のベッドに運んだ。彼は身長の割に軽い。
彼こそ、どう生きているんだ。
何を食べ、何をして、どうして、あんなところにいて、こんなことをするんだ。
かなり見た目もいい。立ち姿も姿勢が良く毅然としている。
口は悪いけれど、育ちは良さそうだ。食事の仕方を見ればわかる。うどんをすするだけなのに、そんな仕草の中にも品を感じたのだ。
料理が上手くて、片付けもきちんとできて、器のこともある程度知識がある。それなりの教養もありそうだ。
でも、住むところがない・・・
つかみどころがない。
彼の名前も聞いていないことを思い出した。俺も名乗っていなかったのだから、おあいこといえばおあいこだ。

ベッドに連れて行く。上掛けをはいで彼を横たえた。
「うっううーん」
冷たいシーツの感触にいくらか覚醒したのか、身体を少しふるわして、彼の瞼がピクピクした。
そのまま、くるりと手足を丸めた。
・・・ああ、実家の猫がコタツに丸まったあの情景が頭を過る。
ふっと笑みがこぼれた。こんな大きな身体なのに、子供とは言えない年齢なのに、そんなところもかわいいと思える。
「さむい・・・」
上掛けをかけるのも忘れて見入っていた。彼の腕は、無意識に上掛けを求める。その腕が宙を描いて、俺の首を捉えた。そのままグイと、彼は自分に引き寄せたのだ。
「お、おい」
俺は焦って、彼から逃れようとしたが、寝ているのに案外力があって、俺は彼に抱き込まれた。
彼はにっこり微笑んで、また寝入った。俺は抱き枕か・・・俺の体温で少しの暖をとれたのか、彼は安心したように微笑んでいる。その笑顔は、あどけない幼児が母親の胸に抱きしめられた時のような、無防備な笑顔に見えて、俺は見入ってしまった。
かわいい・・・
今、俺の感情を表すなら、その単語しか浮かばない。
俺は、その微笑みを見つめているうちに、なぜか幸せな気分になっていった。彼の微笑みは人を惹きつける。
俺はそのうち、いつの間にか寝てしまったようだ。
名前も知らない青年が、俺の胸の中にぐりぐりと頭をよせて入り込んできた。
一夜を共にした女でさえ、こんな抱き締めて、寝たことなんかあっただろうか。もとい、一夜を共にすること自体、俺は好まなかった。
柔らかくもない男の身体。鼻にかかった嬌声もない。甘えてくる女とも違う。媚もシナもない。
それなのに、俺は彼を抱き込んで寝ていた。
その体温と、彼の匂い、俺はぐっすりと寝入った。

テーブルにメモと鍵を置いた。出る時は、鍵は下のポストに入れて行くように。
俺が出勤する時、まだ彼は目覚めなかった。彼の眠りは深いようだ。かなり疲れていたのかもしれない。

俺は、変な夜だったと思いながらマンションを出た。
普通寒いからって、段ボールに入るか?夕べあの青年が入っていた、その段ボールを、ゴミ集積所に片付けた。
そのまま駅に向かおうとしたら、前から派手なシャツに革ジャン、サングラスに長い髪を後ろで結えた男が歩いてきた。この辺りではあまり見かけない、一見チンピラ風情の男だ。一見チンピラ風ではあるが、かけていたサングラスが度付きの眼鏡になっていて、サングラス部分を外すと、その眼鏡がその男を知的に見せている。変わったサングラスをしている。こだわりを持った男なのかもしれない。スタイルも顔立ちも悪くはないが、その派手なシャツが目を引く男だった。
「お急ぎのところ、すみません」
丁寧な口調で俺に話しかけてきた。
「はい、何か?」
「ちょっと人を探してまして、この男見ませんでしたか?年は20歳ぐらい、身長は、私よりもう少し低いくらいで、痩せ型の、一見、きつい目付きの青年なんですが・・・」
その男は、胸のポケットから一枚の写真を出した。
その写真に写った人物は、タキシードを着て、品の良い笑顔をカメラに向けている。手にはシャンパングラス、どこかのパーティ会場で写したのか、着飾った人が写り込んでいる。

「私、怪しいもんではありません。」
その男は、俺がハッとしたのを見逃さなかった。
俺の表情の変化に気づいたのか、そう言うと、男はニヤリと笑った。
怪しい人間は、自分を怪しいとは言うまい。
「この人が何か?」
「この男、どうも放浪癖がありましてね、大事な用件があるのにいなくなってしまってんですよ。あっ、これは内輪の話で・・・昨夜、この近くで、見失ったものですから・・・」
眼鏡の奥から、俺の表情の一つも見逃さないぞと言う、油断のならない眼を向けている。
「悪いが、知りません。急いでいるので失礼するよ」
「そうですか、ありがとうございます。もし、もし見かけたら、私にご連絡お願いできますか。よろしくお願いします。」
名刺を一枚渡してきた。
名前は、千秋修平
肩書きは、上杉コーポレーション 社長秘書

「社長秘書?あなたが?」
俺は、足を止め。つい訝しげな顔をしてしまった。
どう見ても、この服装で社長秘書には見えない。上杉コーポレーションといえば、同族で固めた会社で、ワンマン社長が取り仕切る、地方からのし上がった大手企業だ。
「あっ、これ私服なんで・・・誤解しないでください」
「いや、わかりました。心得ましょう」
俺はそつなく答えると、駅に向かって急ごうとした。
その俺をじっと見つめた、彼の眼鏡が、油断なく光った。

夕べの青年と、今の社長秘書・・・上杉コーポレーション。
どんな関係があると言うのだ。














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たかにゃんはペット、3



たかにゃんはペット、3

「あるじゃん!米も、うどんも!」
先日、実家の母が送って来たダンボールが、封は開けてはいたが、まだそのままだった。母は、わかっているので生鮮食料は送っては来ないはずだが、念のため確認しておいた。時たま、冷凍物など送ってくることもある。
「なぁ、これ喰っていいか?おまえも喰う?」
彼はうどんを取り出した。いわゆるパックに入ったうどんで、すぐ温めれば食べられるタイプ。母もこれなら俺でも調理できると思ったのだろう。
「麺つゆは?麺つゆでもいいんだけど・・・麺つゆなんてねぇか?」
人の家のキッチンを、キョロキョロと見渡している。馴れ馴れしいというか、厚かましいと言うか・・・
「なぁ、冷蔵庫開けていい?」
厚かましいが、扉を開ける時は必ず一言断っていることに気付いた。そこまで礼儀知らずではないようだ。
「あるじゃん、卵も、おっ!いろいろあるじゃん!」
乾燥ネギとか、冷凍のしらすとか、姉が買っておいて行ったのがそのままになっている。
「これ、買って来たの彼女?」
「いや、違う。姉だ。近くに住む姉が、時たま見かねて置いていくんだ」
「へぇ、お姉さん。いいお姉さんだな」
そう言っている間にも、彼はテキパキと動いて、鍋を取り出し、うどんを作り始めた。その動きを見るには、料理上手いぜと、言った言葉はハッタリではないようだ。
「あんたさぁ、ぼっと突っ立ってないで着替えて来れば?」
それもそうだ。俺はまだコートを着たままだった。

「出来たぞ。どんぶりなんかねぇか?
どんぶり。おーい、どこの使えばいいんだ?」
部屋着に着替えて寝室から出て来たら、彼が俺を呼んだ。
俺は食器棚から、取り出した。
「へぇ、益子焼きじゃん。あんた、もしかして栃木?」
「よく知っているな。実家は宇都宮だ」
「ふぅーん。高そうだなぁ。」
彼は、その器を持ち上げ底を見た。窯印を見ているらしい。
「これって濱田庄司じゃん。いいのか、人間国宝の物なんか使っちゃって・・・」
案外、ただのビッチではないようだ。
「それしかない。それに飾っておくより、使われた方がその器も喜ぶだろう」
俺がそう言うと、彼は驚いた顔で俺を見つめ返した。そして、小さく息をはいた。その器をゆっくり手の中で回した。愛おしそうに慈しむように、ゆっくり回した。その仕草、茶道の心得もあるようだ。
「あんたの実家、金持ちなんだ?」
「金持ちかどうか知らん。実家は、寺をしている」
「寺?寺って坊さん?」
「一応、私も僧侶の資格は持っている。父と兄、兄は2人いるが、次兄が跡を継いで、僧侶をしている」
「おまえ、坊さんなの。全然イメージじゃねぇぞ」
「余計なお世話だ」
アハハと軽い笑い声をたてた。
「姉さんに兄さん2人。あれっ、4人兄弟?今どき珍しいな」
「まぁ、そうかもしれん」
俺は、いつの間にかいろいろ喋っている。普段は、寡黙だとか冷たい感じだとか、ひどい時には、人間らしくないなんて言われている俺が、初めて会ったばかりの青年と、仕事以外で喋っている。仕事なら、営業トークはお手の物。しかし、それ以外は、口を開くのさえ面倒だ。ましてや、プライベートなど人に話したことはない。
だから、話している自分自身に驚愕していた。
そんな間にも、彼はテーブルにうどんを並べ、箸はどこだなんて聞いてくる。
「お茶でも淹れますよ」
俺は、せめてお茶ぐらい淹れないと申し訳ないような気分になっていた。ここまでテキパキと準備をしてくれた彼に。
そして、無意識に俺自身の彼への言葉遣いが、彼に対して、ぞんざいな言い方をしなくなっていた。

彼は遅い夕食を済ませると、腹がいっぱいになったら眠くなったと言って、さっさと片付けを始めた。その間に、俺には風呂に入れと指示する。言われなくてもと、ここは俺の家だと思ったけれど、なんとなく彼の勢いにのまれ動いている。それが、不思議と不快ではない。
出てくると、キッチンは、きれいになっている。片付けも上手なようだ。
「あなたも入って下さい」
何日か風呂に入ってないのか、少し薄汚れている。無精髭がないのは髭は薄いタイプか、まだ子どもなのか・・・
「いいのか、借りて?」
「ええ、風呂に入らなければ、私の部屋が汚れそうです」
「おまえ・・・友だちいねぇだろ?」
「はぁ?余計なお世話です!」
ニヤリと、彼は笑うと、持っていたディパックから着替えとか取り出した。
「持っているんですか?」
「えっ、これ?これでオレの全財産だからね」
「ええ?」
彼は、そう言って笑いながら風呂にいった。
どうも彼は、普通の常識と違うようだ。俺は、彼に寝場所を用意しなければと思った。
そんな心配をしている自分がおかしい。

「風呂サンキュー!」
あっという間に彼が出てきた。
「もう、出たんですか?」
「ちゃんと洗ったよ」
口を尖らして彼は反論する。
まるで子どもみたいだ。
しかし、彼の髪からは滴が垂れている。
「来なさい」
「ああ、熱いんだよ。この部屋、快適過ぎ!」
彼は下はスェットを穿いていたが、上半身は裸だった。彼は痩せてはいたが、適度に筋肉が付いている。運動神経の良さそうな筋肉のつき方だ。見るからに、しなやかな身体だ。
「それもそうですが、髪・・・拭いてないじゃないですか」
俺は彼をソファに座らせると、彼がTシャツを羽織った。俺は、彼が持っていたバスタオルを取り上げると、彼の髪を拭き始めた。
俺は何をしている・・・
「あんたさぁ、面倒見いいんだなぁ。これなら、モテるの当たり前だなぁ。結構、気持ちいいぜ・・・」
そう言うと、彼は気持ちよさそうに眼を閉じた。彼の喉からゴロゴロと音が聞こえた気がした。女にこんなことをしたことはない・・・
しかし、彼は本当に、猫みたいだ・・・
「君、君、ここで、寝ちゃいけませんよ」
彼からは、微かな寝息が聞こえた。
名前もまだ知らないその青年は、微かな寝息と微笑みを浮かべ、寝ていたのだ。

・・・困った。
何が困ったって、こんなところで寝てしまった彼をどうするかも困ったけれど、それより、困ったのは、彼がかわいいと感じている自分だった。
彼の外見もタイプも、どちらかと言うと男らしいタイプなのに、かわいいという単語とは、かけ離れているはずなのに、なぜだろう・・・





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たかにゃんはペット、2



たかにゃんはペット、2

「腹減ってるって言われても、私の部屋には食べるものなんて、何もないですよ!」
俺は、なんとなくムキになって答えた。あまりにもその若い男が、いかにも"人生な舐めてます"もしくは、"人生捨ててます"といった軽い感じで、自分を捨て猫だとか、放っておけば、殺人犯だとか、支離滅裂なことを言うからだ。何より、ダンボールに入っているなんて、その考え自体安易すぎて、呆れてものも言えない。
こんなお気楽に、何も考えていない若い男にムカついた。それもあった。でも一番は、その日の自分の失態の八つ当たりだ。俺の心の何処かに、それは確かにあった。兄と呑んだくらいでは、気分が晴れるわけがない。
本当だったら、どこかのホテルのBARで、夜景を見ながら飲んでいるとびきりいい女を、ハンティングでもして、今頃ベッドにしけこんでいたら、いっ時は嫌な気分も忘れられたかもしれない。
でも、その後の後味の悪さを考えて、いつものBARに行ったのだ。結局は、一夜限りの女を抱いてもその時だけだ。口説くまでがゲームとして成立するのであって、落としてしまえば、どんないい女と呼ばれる女でも、みな同じなのだ。
そして、自慢ではないが、口説くのに手間取ったことはない。それも、俺のハンティングに向かわせない理由の一つだ。
落ちそうで落とせない。そんなハンティングなら、おもしろいが・・・

「へぇ、あんた、部屋に食いもんないなんて、どう生きてんの?」
どう生きている。そんなの決まっている。息をして、心臓を動かせば生きていると言えるだろう。
いや・・・それだけで、生きていると言えるのだろうか?俺は、本当に生きているのだろうか?
「あんたさぁ、部屋に米ぐらい、ないの?後はさぁ、卵とか、海苔とかさぁ、オレ、そんなんで充分なのだけどなぁ。オレ、贅沢言わないぜ」
その若い男は、どっこいしょと言うと、ダンボールから出た。お尻や膝をぱんぱんと埃を払っている。
「オレ、料理上手だぜ?拾い得だと思うけど?」
俺の腕をとると、早く行こうと、促す。
「き、君は、一般常識として、私に家庭があるとか思わないのか?」
「へぇ、あんた奥さんとか、子どもとかいんの?」
俺の頭からつま先までを一瞥した。
「いや、いない」
「だろう?あんたから"家庭"の匂いはしないもん。オレとおんなじ」
「えっ?」
「いいから、いいから、オレ拾ってくれよ」
どんどんマンションの中に入っていく。
「き、君、もし、私が危ない人間だったらどうするんだ?」
その言葉に彼は足を止めた。
「へぇ、あんた危ない人間なの?」
「いや、たぶん、そこまで危ないわけではないが・・・」
俺が口ごもると、その男は、ニヤリとした。
「まぁ、そうだったら、オレの見る目違いってことで、諦めるよ。そして、蹴り倒して逃げるさ。いつものように!」
「いつものように?いつも、こんなことをしているのか?」
「いつもってわけでもねぇよ。行くとこ無くなっちゃったらね。」
悪びれもせず、そんなことを言った。
とんだピッチと言えばいいのか、ピルトルズと言えばいいのか、ジャンキーなのは、間違いないのかもしれない。俺は、そっちの方に興味はない。
そうこう言っているうちに、エレベーターに乗り、俺の部屋の前に来た。
なんとも、押しが強いのは、間違いない。
「ここ?」
「ああ」
「早く開けてよ。寒かったし、腹減ってるし、死にそうなんだ」
「それくらいで死ぬまい」
「死ぬよ、オレ3日も食べてねぇし」
「3日!さっきは昨日って言いましたよ?」
「そうだっけ?しょうがねぇな、だから、早く!」
このご時世、3日も食べられない人間が存在するのか?
ドアを開けると、男は、ひらりと部屋に入った。
「いいとこ、住んでんじゃん」
そう言って、くるりと振り向いた。
眩しいくらいに、にっこりと笑ったのだ。瞳がキラリと光った。
その瞳にズギュンと、撃ち抜かれたような錯覚を覚える。
な、なんだ・・・この感覚は・・・

明るいところで彼を見ると、細身のバランスの良いモデルのような体型の男だ。長身の俺よりは、若干背は低いようだが、その細く長い手足に、顔も小さい。着ている服はいかにも、今どきの若者が好む服装だったが、今どきの若者と違うのは、今どき珍しい地毛のようだ。真っ黒な髪をしている。それと同じくらい真っ黒の、まるで黒曜石のような瞳をしている。
不遜な言葉遣いとは裏腹に、その笑顔は、あどけなかった。
まだ10代・・・そんな気がした。
しかし・・・美しい男の子。他に、形容のしようがない。
呆然と立ち竦んだ俺をおいて、その若い男は、ズカズカと俺の部屋に入って行った。



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直江はわんころ、28



直江はわんころ、28

「ここで、一緒にって・・・なんだよ、それ・・・」
オレは、直江の真剣な顔に圧倒されていた。
「ここなら、2人でも十分でしょ?」
確かにオレのアパートは狭いし、ボロい。
「高耶さんのアパートは、壁も薄いし・・・声も音も筒抜けでした」
確かに、掃除しただけで叱られたよな。
「でも、それ以上に、高耶さんがここに来なければならない理由があるんです」
「なんだよ、その大げさな言い方・・・」
オレは、その言い方が気になった。
「実は・・・」

直江は、テーブルに出前のお寿司が来てから、話し始めた。
オレが学校に行っている間、昼間直江は暇を持て余していた。
買い物や散歩ぐらいしかやることがない。それまで働き詰めだったから、最初は、身体を休めるのにはちょうどいいくらいに思っていたらしい。
昼間ブラブラしていた直江は、大家さんの話し相手に見こまれてしまったようだ。何かにつけ、お茶を飲みに来たらしい。その中で、大家さんが年だからこのアパートをどうしょうか悩んでいることを打ち明けられた。そして、不動産屋としての、職業柄が動きだしてしまったという。
大家さんは、あのアパートを処分しようとしていた・・・その手続きから、段取りなど、そのすべてを直江が相談にのってあげ、指南し、大家さんは決めたようだ。
あのアパートの場所を売って、大家さんは、ケアハウスに入居することが決まった。
「近々、立ち退きが始まります」
「えっ、そんなの聞いてないよ」
「アパートの入り口に貼り紙してありましたし、大家さんは一軒一軒説明に行っています」
「オレは聞いていない」
アパートの三分の一は空き部屋だ。あとは、高齢者が多いが、皆、年だから一人暮らしを不安に思っていて、子どもと同居するとか、施設に入居するとか、ある程度決まっていたようだ。ちょうどいい機会だったのだ。住人の中で、若いのはオレぐらいだ。
「あなたには、私から話すと言ってあります」
「そ、そうだったのか・・・」
大家さんは、かなりの高齢だ。確かに最近は、健康面も認知的にも、本人も不安があったようだ。
「だから、おまえ、お兄さんに詫びを入れたのか?」
「確かに、それもあります。この話を進めるには、どうしても会社を通さければなりませから、出社する必要がありました」
「・・・」
「でも!高耶さん、それだけではありませんよ」
直江は、席を立つと、オレの前に跪いた。
「私は、本当に高耶さんと。一生添いとげるつもりです。兄さんに詫びを入れたのは、それを認めてもらうためです」
「直江・・・」
「大家さんは、他の方より、一番高耶さんのことを気にしていたんです。学校行きながら、働いて・・・ここは家賃が安いからいいけど、他に行ったら高耶さんがもっと大変になる。だから、せめて卒業まで待とうかとか・・・でも、今なら、まだ大家さんもしっかりしていますが、これが1年後2年後はどうなるかご本人も不安らしく・・・だから、高耶さんのことは、私が責任を持ちますから安心して下さいと言いました」
「大家さんが・・・」

引越して来た時から、何かと良くしてくれたおばあちゃんだった。お菓子をくれたり、おかずを分けてくれたり・・・
金がない時は、家賃の支払いを待ってくれたこともあった。試験の後とか、どうしても払えない時は、アパートの掃除や大家さんの買い物とか雑用を手伝えばいいと、まけてもらったことすらある。
その大家さんが・・・
「大家さんは、本当の孫のようにあなたを可愛がっているんですね〜」
「うん、いろいろ世話になっている」
「だから、大家さんを安心させるためにも、ここに来ませんか?」
「う、うん」
「ここなら、家賃はいりませんし、」
「しかし、そういうわけにはいかないだろう?」
「じゃあ、今までのように、ご飯を作って下さい。それが条件です。それならいいでしょ?」
「う、うん・・・」
「大好きな人とずっと一緒にいたい。それが、ここでも問題はありませんよね?」
「う、うん」
「実家にも言って来ました。兄も了解済みです。姉も認めてくれました」
「う、うん」
直江は微笑んで、オレの両手をとった。
「おまえ・・・オレがそうしなければならないように、外堀から埋めやがったな・・・」
精一杯の抵抗を示す。
「バレましたか?だって高耶さん、そうしなければ、うんと返事しないでしょ?」
「う、うん、まぁ」
「いやですか?」
「いや・・・じゃないけど」
「じゃあない?とは?」
「本当にオレでいいのか?こんなに簡単に、決めていいのか?」
「何言っているのですか?簡単になんか決めていませんよ」
直江は、そっとオレを胸に抱え込んだ。
「初めてあった時から、どうやったらこの人を手に入れられるか、作戦に作戦を考えて、ですね・・・」
「もう、いい!」
オレは、直江の首に手を回した。
直江はにっこりと微笑むと、優しく口づけできた。

「行ってきます」
「おお、行って来い!」
玄関で、直江が呼んでいる。
「高耶さん、高耶さん、忘れ物ですよ」
「はぁ?」
「ほら!いってらっしゃいのキス!忘れてますよ」
そう言って、直江は頬を突き出す。
「まったく!」
オレは怒った顔をしながら、その頬に唇を寄せた。まったく照れくさくてたまらない。そのオレの顔を、寸でのところで直江は、自分の唇に押し付ける。
そして、オレの顔中にキスをする。キスの雨だ。
「お、おい!」
「行ってきまーす!」
オレにどつかれるまで、キスをしている。そして、満足するとスキップしながら、ドアから出て行くのだ。

あれから、間も無く、オレはここ、直江のマンションに越してきた。大した荷物もなかった。直江の車で少しずつ運んだ。
朝、直江は、オレより先に出勤する。
いってらっしゃいのキスは、オレの義務だ。
オレは、ここに越してからバイトもセーブしている。直江の食事や、家事を優先するためだ。
夜は、下のインターホンで帰りを報せると、直江は、急いで上がってくるのがわかる。オレの嗅覚や聴覚も、わんころ並みになったようだ。
おかえりというと、またおかえりのキスを求めやがる。そのくせ、先にキスの雨を降らすのは直江のほうだ。

オレに飛びついて舐め回すわんころに、そっくりだ。

わんころは、オレの子どもの頃の幸せの思い出だ。
幸せだった頃の象徴だ。
だから、直江がわんころに思えるのは、直江がオレの幸せなのかもしれない。


終わり

読んでいただきありがとうございました!
いろいろコメントありがとうございました。返信できずごめんなさいでした。とても励みになりました。
"こいよ"は、"きたー"と対になっているミラ関連用語となりますかね?
忙しいのも明日が最後。
明日からは、高にゃんに取りかかりたいと思います。
また、よろしくお願いします。








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直江はわんころ、27



直江はわんころ、27

「おまえ・・・」
精一杯、オレは直江を睨んでいる。
なのに、正座をしている直江は、うな垂れ下を向いているが、顔はニヤケている。
「反省しているか?」
「反省しています」
「もう2度としないか?」
「いえ、きっとまたします」
首を上げて堂々と言った。
「ぜっぜん、反省していないじゃねぇか!」
怒ったが、オレは痛みが、ズキリと走りイタタタッと、ソファにまた寝転がった。
「高耶さん!」
「動くな。まだ反省していろ!」
「はい、スミマセ〜ン」
キュイ〜イン
それは、わんころが、オレに怒られた時の鳴き声と同じトーンだった。

玄関先で、急にオレを押し倒した直江は、そのまま、どんなに暴れても抵抗してもやめなかった。
まだ朝方の痛みが癒えていない。そこに輪をかけて新たな痛みが走る。
玄関先は、脱いだものや、オレや直江が吐き出したものが飛び散った。
それでなくても、オレは夕べから風呂にも入っていない。
吐き出した直江のものが、身体に付いていた。朝方はきれいに拭いてくれたが、今の惨状で、またオレの身体は、2人分の白いもので汚れた。
オレはことが終わって、上がっていた息が少し正常に戻り、直江が少し冷静に戻った時、怒りを爆発させた。
「何してくれてんだよ!見ろよ、この状態!」
「と、とりあえず、流しましょう。風呂へ・・・ここは、後で片付けますから」
直江は、平謝りに謝った。
オレは、腰の痛みやらあの部分の痛みで、歩くこともままならなかったのだ。直江は、標準体重より軽いとはいえ、大の大人のオレをひょいと、俗に言うお姫様抱っこすると、風呂場へ向かった。
オレは、恥ずかしさと照れくささと、痛みで、降ろせと怒鳴ったが、直江は力があるらしく、びくともしなかった。
直江は、謝罪の言葉は口にしても、おろしてはくれないし、他には何も喋らない。ただ、真剣な顔でオレを運んだ。

そして、2人とも玄関で、全て脱いでいたのが悪かった・・・本来、玄関は、靴や、コートを脱ぐところなのだ。靴も、コートも、直江のスーツやら、オレのジーンズ、下着までが散乱したままだ。
風呂場に入って、シャワーのコックをひねる。風呂にお湯が溜まる間に、直江が泡のボディソープで、オレを優しく洗い出した。
オレのアパートの風呂場の倍以上ある広さの直江の風呂は、2人で入っても充分な広さだった。
洗い場で、オレを洗ううち、また、直江のスイッチが入ってしまったのだ。
泡の滑りと、シャワーの刺激は、オレの口から妙な声を出させたのだ。さっきの余韻もあった。敏感になった身体中にシャワーの刺激は、さっきまで感じた感覚を蘇らせるのだ。
そして、オレの敏感な部分を知ったばかりの直江は、そこばかりを執拗に洗った。
「お、おい・・・そこばっかり触るな・・・」
「高耶さん・・・ここ、感じるんですね」
うわずった直江の声が、オレを煽る。
確かに、直江だけの責任ではなかったのかもしれない。オレにも少し自覚はあった・・・
裸で、風呂場の明るい光の中、初めて見る直江のすべて・・・
それは同じ男としてのものなのに、オレはドキドキした。広い肩幅、厚い胸板、割れた腹筋、均整のとれた全身。そして、勃ち上がったオレより一回り大きなもの・・・
狭い布団の中で、ずっとくっついて寝ていたんだ。
朝方も何も付けていない生まれたままの姿で、身体を重ねたのだ。
感触は覚えている。
それなのに、こうして見るのは、また別の恥ずかしさと、昂まりが熾きる。

玄関では、急に押し倒した直江が、今度は後ろからオレを突き上げた。
背中も洗ってあげると、背を向けさせられると、肩から背中に手を這わせた。それだけで、オレの腰が微妙に揺れる。
風呂場の壁に手を付くと、双丘を両手で撫でていたかと思ったら、そのまま指を入れてきたのだ。
シャワーのお湯が背中を伝う。
泡が落ちていく感覚までも敏感に察するぐらい、オレの背中の神経が過敏になっている。
「まだ、柔らかい・・・」
直江の指が、ぐるりとオレの中をかき回した。その動きに合わせたかのように、オレの喉の奥から、はぁと声が出た。
「感じているの?」
「うるさい・・・まだ痛い!」
「じゃあ、これでは・・・」
直江の細く長い指が、オレの入り口をゆっくり撫で回した。
うっうーん。
「高耶さん・・・かわいい・・・」
そう言うと、直江はオレの耳たぶを背後から噛んだ。そして、そのまま背中に舌を這わせたのだ。
背中なんか感じるなんて知らなかった。
オレの背中は弓なりに反った。
弓なりになったことで突き出されたオレ自身を、直江の指が握ると、ゆっくり上下した。脊髄を走る刺激が脳天まで走る。そのままオレが白いものを吐き出すと、直江は、指を引き抜いた。
足の間に滑るものがたらりと、流れるのがわかった。
「あなたの中から、私のものが出てきました」
耳元で直江が報告する。それはとても淫靡な響きで、オレの喉がまたオレのものでない声を出させた。
あっあっああぁ
「あなたがこんなに淫乱だなんて・・・知らなかった。こんなことなら、我慢せず、もっと早く犯してしまえばよかった。ずっと、ずっと我慢していたんだ・・・私は、忠犬のふりなんか、早く辞めればよかったんだ・・・」
そう言い終わらないうちに、立ったまま、直江が突き入れた。
あっああああ〜
直江の腰使いは巧みで、オレはまた風呂場に白いものを吐き出した・・・

「初心者相手に、無茶しやがって!」
「やっぱり、初心者・・・」
直江は、満面の笑みを浮かべた。
「うるさい!」
オレは、初めてだったのを恥ずかしくなって、照れ隠しに怒鳴った。それどころかキスしたのも直江が初めてだ。それは黙っておこう。
「すみません。」
大きな身体を縮こませて、直江は、床に正座している。でも、顔のニヤニヤは、止まらない。

風呂場から出たオレはとりあえず、直江の下着とパジャマを着せられた。
ソファに横になると、似たようなパジャマを着た直江を座らせたのだ。
「こんなんじゃ、晩めし作れない」
「はい」
「オレは、夕べから何も食べていない。腹が減ってんだ」
「今、デリバリーでも取りましょう。好きなもの、なんでも言ってください。ビザ、食べたいって言ってましたよね?」
宅配ピザは、高くて食べたことないと言ったことを覚えていた。
「おまえ、お兄さんから、財布戻ったんだろう?ピザなんかじゃ安い!」
「それでは、お、お寿司とかいかがですか?」
「寿司?特上2人前喰わせろ」
「お安い御用で!」
「それから、デリバリー来るまでに、玄関なんとかしろ」
「喜んで〜」
「居酒屋じゃねえ」
「すみません」
「喰い終わったら、オレを送れ」
「えっ」
「歩けねぇ・・・でも、帰らなきゃ。着替えもねぇし!」
「それは、私が取りに行ってきます」
「でも・・・」
「高耶さん!」
直江が真剣な顔で立ち上がった。
「高耶さん、ここで一緒に住みませんか」
「えっ・・・」



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プロフィール

kihiro0501

Author:kihiro0501
kihiroと申します。
「炎の蜃気楼(ミラージュ)」の非公式二次小説です。
ミラに感謝と愛を込めて、日々脳内妄想爆走させております。
私の設定は、ほとんど、ハッピーエンドが基本です。ご了解とお詫びを先に申しておきます。
今頃のミラですが、よろしくお願いいたします!

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